河原町から

10月の終わりのある日  三本足散歩に出た。
ずいぶん良くなって 松葉杖をつけば歩けるけれど 足のわるいものにとっては 街はまだまだ障害物が多い。

なんでもない段差や階段が 行くことを拒んでいる。

急な階段や段差は「いけない」

ゆるい階段は「いけそうもない」

人ごみの多い雑踏は 「人がぶつかってこわい」
阪急京都線は 松葉杖を持って立っていると 席を譲ってくれる人が多い。

もし断って「大丈夫です」といっても 今度はそのつもりで立ち上がった人の行き場がなくなって 席を譲り合い ぜんぜん違った人がその隙に座ったりする。

たとえ歩行訓練で立っていたいときでも 席を譲られたら ちゃんと座るべきだと思った。

でないと席を譲ってくれた人の立場がなくなって 次の良い行いが出来なくなってしまうと思う。

そして譲ってもらったとき そして電車を降りるとき 「ありがとう」を必ずいうようにしたい。
抜けるような真っ青な秋空。
ああ もう秋なんだ。

入院中 ずっと窓から空を見て過ごした。

寝たきりのときも 車椅子に乗って移動していたときも 松葉杖歩行をしていたときも ずっとずっと白い建物のなかで 空を見ていた。

ああ 俺って歩けるんだ。
ちゃんと息を吸っているんだ。

毎日同じ空を見て同じことを繰り返していると 
生きていることを忘れてしまう。

ずっと前 元気なときは 青信号は「行きなさい」のサインだった。

今は「行けるかもしれない」になった。

無理しない いや 無理しようがない。

信号をひとつやり過ごしてやっと渡った。

せっかちな私には似合わないけど。

寺町通りは車と歩行者の混走の北行き一方通行。
でも車の数は少ないし 人通りもまばらなので 比較的安心して歩ける。

並走する新京極通りは 車は通れないけど 人が多くて よそ見する人がいて ぶつかって怖い。

こちらが怖がっているだけで 向こうは悪気はないのだけれど。

みんな急いでいるなぁ
壁に真っ赤なズワイガニのブローチ(笑)がぶら下がっている ここは 三条通り。

ここから東へまっすぐ行くと お江戸日本橋。

東海道なのだ。
通りを眺めていると 目の前すれすれを自転車がすり抜けていく。

あっちは悪気はないのだが こちらはとても怖い。

自分もちゃんと自転車に乗れるようになったら 気をつけよう。
三条通りは京都では歴史的な洋風建築が多い。

元気なときには よく歩いたが 三本足で来るのは初めて。

というかちゃんと松葉杖で散歩するのは初めて。
スクーターや自転車のほうが 足には負担がなくて楽だ。

実は歩くのが一番しんどくて怖い。

ここは京都文化博物館 
もとは何の建物かなぁ 銀行か官庁っぽいね。

このほか中京の郵便局もあるし 和洋折衷のものや 色々あるけど
いわゆる自宅ではなく 公共の建物や店舗 会社が多い。

だから大抵は 明治大正当時の最新技術 レンガ造りのものが多い。

重厚でカラフルで見ていて飽きない。

京都だって十分ハイカラなのだ。

ぼうっと立っていると 車が目の前を通って 風圧でふらついた

 ふう 危ない危ない。。
ぐるっと回って三条高倉から 南に下って 錦通りにでた。

ここは京都の台所。京都の人が食べてる美味しいもの 楽しいものがいっぱい並んでる。

唐辛子 湯葉 京野菜に うどん 若狭の魚 おばんざい(お惣菜) 焼き魚 私にとっては京都の食のテーマパークみたいだ。

大阪や神戸ががそうであるように あちらと同じような食べ物が並んでいても 食べてみるとまるで違うものがいっぱいある。

味付けが違っていたり 作り方がまったく違っていたり。


でも 食べながら歩く「おかき」(醤油せんべい)は ここのものではないと思うよ。

たぶんどこの観光地にもある 他所からの資本の(鎌倉や浅草や二年坂や いろんな観光地でみた) 同じ店のようだ。

でも・・おねえさん 一所懸命売ってたなぁ。

ごくろーさん(買わないけど)
ぐるっと回ってもとの位置 疲れたのでちょっと一休み。

スタバってます。

苦いコーヒーは好きじゃないけど 疲れたときにはなぜかすっとのどを通る。

「お席まで運びましょうか」

うん ありがと・・・じゃなかった。

   ありがとうございます。

人様の厚意にはちゃんとお礼を言わなきゃね。

ほっと・・じゃなくてこの場合 「ほっこり」して

ちょっと席で居眠りしてしまった。

やっぱりすぐ疲れるなぁ。

私は どこでもいつでも 疲れたらすぐに寝られます。

寝たら疲れは取れるし残らない。

でも・・・行儀悪くてごめんね。

四条河原町から 三条どおり 烏丸まで行って 錦を見て 
また四条河原町までぐるっと一周してきた。

あー しんど。


長い文章を ここまで読んでくれてありがとね。


  (*^。^*)
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